「Ender3 V2改造」本格静音化MOD メインボード・PSU・ホットエンド・造形物冷却用4つの騒音ファンを静音ファンに交換

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静かな3Dプリンターが欲しい!

今、私の興味あることは3Dプリンタの静音化です。
以前の記事で書きましたが、購入した3Dプリンタ「Ender3 V2」の動作時の音をどうにかしたいと思っています。印刷中の騒音に耐えられません…。

そもそも何がこんなにうるさいのかと様子を伺ってみたところ原因はファンとファンガードでした。

これらのファンは小さくて高回転なため、風切り音に加え高音のキーンと言う音が鳴り続けるという始末。印刷中は「ブオオオオオオーン」+「キィィィーーーーーン」という音が混ざった音がします。

これは工場の音です。

私は以前、工場に住んでいたことがありますのでこの音を聞くとあの頃を思い出します。
はっきり言って耳障りであり、家をリフォームし、頑張って上げたQOLが随分下がりました。

でも何か作りたいんです。
3Dプリンター自体はとても魅力的なのでどうにかしたいのです。静かにさえなれば…と思い改造してみることにしました。

安全重視で、できる限りの静音化を目指しました。

とりあえず少しでも静音したいときは

実はホットエンドカバーを替えるだけで少し静音化できます。
かんたんなので本格的に静音化するまでの繋ぎとしておすすめです。

問題は純正ホットエンドカバーと4つの騒音ファン

Ender3 V2には全部で4つのファンが付いています。

  • ホットエンド冷却用ファン DC24V 40mmx40mmx10mm
  • 造形物冷却用ブロワーファン DC24V 40mmx40mmx10mm
  • メインボード冷却用ファン DC24V 40mmx40mmx10mm
  • PSU(電源)冷却用ファン DC12V 60mmx60mmx15mm

24Vのファンが3個、電源冷却用のファンだけ12Vでした。そもそもこれらの4つのファンは全部小さいです。どれも例外なくうるさく、電源用だけは60mmサイズでしたが、これが最も爆音です。


バラしてみるとファン自体はたしかにうるさいのですが、そもそものカバーの設計がおかしいようにも思えます。カバーにもう少しスリットがあればマシな気がしますし、ファンの位置も大きさも替えたほうが効率いい気がします。取り込んだ空気が上手く排熱できていないのでファンが回り続けてしまうのではないのでしょうか。
もう少し風通しが良ければこれほどファンが回らなくていいように思います。


まあでもそんなことを言っても始まらないので、進めていきたいと思います。

静音化に必要なもの

いろいろ必要です。
Thingiverseからプリントデータをダウンロードして印刷するだけでも2日かかりました。

その間にアマゾンなどで部品を発注しました。

  • PSU(電源)用80mm静音ファン
  • メインボード用80mm静音ファン
  • ホットエンド冷却用40mm静音ファン
  • 造形物冷却用40mm静音ファン
  • DC-DCコンバーター(降圧基板)3個
  • メインボードカバー(Thingiverse)
  • PSUカバー(Thingiverse)
  • ホットエンドカバー(Thingiverse)
  • DC-DCコンバーター(降圧基板)用ケース(Thingiverse)
  • 嵩上げ用の足4個(Thingiverse)
  • ハンダ・ハンダゴテ(あれば)なければ接続コネクターでOK
  • プラスドライバー・六角レンチ(付属のでOK)

PSU(電源)用80mm静音ファン

純正:60x60x15mm 4,500回転/36.6dBA 22.18CFM DC12V 
変更:80x80x15mm 2,000回転/20.4dBA 25.26CFM DC12V

純正より風量を上げつつ騒音値を16.2dBAも下げるという驚異的なパフォーマンスです。

PSUは純正の60mmファンが爆音なので、ここを替えるだけで劇的な変化はあります。
実際は静かになったが故、他の部分が気になって結局は全部交換したくなるのですが…(笑)

海外のユーザーにはカバーをメッシュにしてファンレス仕様の猛者もいます。究極の静音(無音)ですが何かあったら怖いのでそこまでできません(笑)

メインボード用80mm静音ファン

オウルテック PCケース用山洋電気製超静音ファン 8cm 25mm厚 1300rpm SF8-S2

純正:40x40x10mm 7,000回転/27dBA 6CFM DC12V
変更:80x80x25mm 1,300回転/10dBA 14.8CFM DC12V

とんでもなく静音です。
こちらも倍以上の風量にも関わらず騒音値を17dBAも下げることができました。

ホットエンド冷却用静音ファン

AINEX OMEGA TYPHOON 薄型・究極静音タイプ [ 40mm角 ] CFZ-4010LA

40x40x10mm 3,300回転/10.3dBA 4.02CFM DC12V

調べても純正品のスペックが出てこないので風量等は不明です。
静かです。さすが究極静音(笑)
キーンという音が一つなくなります。ホットエンド用の冷却ファンは電源を入れた瞬間から回り始める正面に付いているファンです。
一番最初に耳に入る音なのでここは大事です(笑)

造形物冷却用40mm静音ファン

AINEX OMEGA TYPHOON 薄型・超静音タイプ [ 40mm角 ] CFZ-4010SA

40 x 40 x 10 mm 4,000回転/12.3dBA 4.81CFM DC12V

こちらも純正品のスペックが出てこないので風量等は不明です。
上記のホットエンド冷却用ファンと種類が違う理由はホットエンドカバーの形状上、少し風量が必要かと思ったからです。
純正のカバーは、下側に風を吹き付けるブロワーファンで吹き出し口は一つです。今回選定したカバーは吹き出し口が両サイドにある設計で、ファン取り付けの逆サイド側へ風を送るには風量がないと送れないかと思いました。

純正はブロワーファンが取り付けられています。
今回は改造ホットエンドカバーにしましたので上記の40mm角オメガタイフーンが装着可能となりました。

Noctuaファンにしない理由

海外の動画を見るとみなさんNoctua製の静音ファンを使っています。
私も真似してNoctuaのファンにしようと思っていたのですが、スペックを比較してみると特別優れている訳ではありませんでした。

ホットエンド用に使用する40mmファンの場合で比較してみます。

Noctua 40mm NF-A4x10   4500/3700回転 17.9dBA 4.8CFM 2,606円
AINEX 40mm CFZ-4010SA 4,000回転/12.3dBA 4.81CFM 807円

オメガタイフーンに比べるとNoctuaファンは騒音値が高く、風量はほぼ同じなのに価格差は3倍以上です。Nocutuaファンは独特なカラーリングなので見た目が気に入ればアリなのかもしれませんが…。

私はシンプルな方が良いのでAINEX オメガタイフーンを選択しました。
静かで風量が変わらないのに価格も安いので(笑)

LM2596 DC-DCコンバーター(降圧基板)3個

Buck コンバーター 24Vから5V DROK DC 4-32Vから1.25-30V 3A調節可能ステップダウンモジュール LM2596電圧レギュレータボード 12Vから5V LED電源変圧器
DROK

電圧レギュレータ DROK LM2596アナログ・コントロール・バック・コンバータDC-DC 4-32V〜1.25-30V 降圧レギュレータ・モジュール24V 12V〜5V 3A 電源インバータ(赤色LED表示付)

もっと価格が安いものもあるのですがLM2596はカッコいいのでおすすめです(笑)
LM2596用のスタイリッシュなケースがThingiverseでダウンロードできます。

Ender3 V2に付いているうちの3つのファンは24Vなので、購入した12Vのファンを使用するためには電圧を下げなければいけません。そのために必要な部品となります。
一つのファンに1個必要なので、全部交換する場合は3個必要です。

24Vのファンを買えばいいじゃないかという話なんですが、静音仕様のまともなファンは12Vのものしか販売されていません…。
海外のユーザーの多くがこのLM2596を使用して12Vファンに交換しています。

印刷中は液晶が光るため、なかなかやってる感が出て気に入ってます(笑)

使用したカバー&ケース用3Dデータ

80mmファン用PSUカバー(Thingiverse)

Ender 3 V2 PSU cover with 80mm fan by mpuromaki
PSU cover for Ender 3 V2 printer with place for 80mm fan. These can be printed on Ender 3 V2. The Ender 3 V2 PSU fan is 12VDC. Use regular PC 3-pin 12VDC 80mm f...

大物なので時間かかります。
私は80mmのファンを使いたかったのでこれにしましたが、いろいろなファンサイズ用のデータがあります。二分割されていますので印刷後接着剤でくっつけて上画像のように仕上げます。

80mmファン用メインボードカバー(Thingiverse)

Ender3 V2 Mainboard cover 80mm fan - NO SUPPORTS by Earthmann
My take on a simple mainboard fancover for the Ender 3 V2. Fast and easy to print with no supports needed. It's 1mm thick but works fine. I fixed the 80x80x25 f...

これも大物なので時間かかります。
こちらもいろいろなサイズのファン用カバーがリミックスされています。
どれを選んでもだいたい同じなのですが、縦方向の壁は折れやすいです。
私は2回折ったので(笑)上側ネジは使用せず裏蓋のネジ3箇所を使用しています。

LM2596 DC-DCコンバーター(降圧基板)用ケース(Thingiverse)

LM2596 With LED (another remix) by steve220
Edit: 3/16/18 Thanks to deadwood83 for noting the polarity had changed on these. New files for the top have been included that have a suffix of FixPol (fixed po...
bottom with rails by cboger
added 40x40 rails on the bottom so it slides in. Please let me know if there is a problem, im extremely new to any kind of design.

ケースを本体に付ける場合、下のリンクの下面カバーを使います。
私は本体のスロットに装着したかったので下リンクのものを使用しています。

ホットエンドカバー Satsana Duct for Ender 3 V2(Thingiverse)

Satsana Duct for Ender 3 V2 by x4runnerGunnerx
I remixed the top mounting hole to align with the hole in the Ender V2 X gantry plate. Use the shorter, silver M3 screws found when you take apart the stock fan...

デザインがシンプルでかっこいいので印刷しました。
ファンガードが無いのはどうかと思いましたが、ガードが無いおかげで風切り音が消えました。

嵩上げ用の足4個 Ender 3 v2 Feet Riser(Thingiverse)

Ender 3/pro/v2 Feet Riser - 38mm/45mm total clearance by squirrelf
Please consider donating if you find it useful (use the "tip designer" or buy me a coffe button) v3 new rail interface v2 has a vertical wall, to avoid confli...

ケースカバーの外側にファンを付けたので、本体の高さを上げて吸気・排気のための隙間を作ります。
はじめから付いているゴム足にピッタリとハマります。
2種類サイズありますが45mmの方を使用しました。

裏側2つのファン交換

上の動画を参考に作業しました。
ファンやカバーの選定は私と違いますが、作業自体は同じですので動画のとおり作業していけばできちゃいます。

ファン取付方向に注意!

ファンの取付方向だけ注意が必要です。
ほとんどのファンの側面に矢印で風の向きが表記されていますので、本体に吹き付けるようにファンを取り付けます。

下の画像の場合、風向きは手前から奥へ、羽は左回転となります。

ホットエンド・造形用ファン交換

こちらの動画を参考にしました。動画はEnder3 V2ではありませんがやることは同じです。
海外の方は皆さんNoctuaのファンを使用していますね。

最後に…

カバー&ケース用の部品を印刷する、
動画を見ながらバラして線を繋ぎ直す。
やることはこれだけなので大して難しくないのですが、作業自体はかなり面倒でした(笑)
初めてのことなので、なんだかんだで半日以上はかかりました。

ですが本当に静かになりました。無音ではありませんが不快な音は何もしません。
寝ようと思えば近くで寝れますし、PC作業も問題ありません。
音楽鑑賞や動画を見ててもぜんぜん気になりません。

もう戻れないです(笑)

少しでも見た目良く仕上げたかったので線同士の結線はハンダ付けし、熱収縮チューブを使って仕上げました。

ファンの交換後は不安な部分もありましたので、PSUとメインボード内に温度計を付けて10時間ほどの印刷物を印刷しました。
メインボード内32.7~33.1℃で安定、PSU内37~37.2℃で安定して稼働していました。

仕上がりも満足で、精度も安全面も問題なさそうです。
これでようやく3Dプリンターライフがスタートできます(笑)

改造前の動作音

改造後の動作音

できればイヤホン・ヘッドフォンで聞いてみてください。
かなり変わったのではないでしょうか!?

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